【No.】 58
【ストレッサー】 レッテル貼り
【内容】 他人からあなたはこういうタイプの冷徹な人間だと決めつけられてしまう
【分類】 B 人間関係
【効果】 ★★
【対処法】 その人は下手な分類マニアだと嘲笑する
【ストレッサー型】 6 ムカムカ関係誤解型
【備考】 レッテル貼りとは、人物の性格や考え方などを偏見や独断等の主観に基づいて、一方的に評価・格付けで決まった型にあてはめることです。日常生活において、こういったことは普通に行われていますが、特に、ネガティブな認知の歪みとしてのレッテル貼りは、人生の中で自分自身を苦しめることがあります。
ただ、レッテル貼りは自分には当たり前のことになっており、不安や恐怖から自分の身を守ることで安心するので、自分自身それに気がつかないこともあり、そうなると、レッテルを剝がすのが困難になります。
本コーピングは、他人からのレッテル貼りで嫌な思いをしてしまうものですが、自分主体のレッテル貼りとしては、下記のようなものがあります。
①自分はコミュニケーション障害があるので、今後人間関係を作るのは無理だろう
②自分は勉強が嫌いで苦手だから大学進学はあきらめよう
③自分は人見知りだから、初対面の人とはうまく会話できない
レッテル貼りの対処法としては、事実と自分の思い込みをしっかり区別して、自分の意志で不要なレッテルを剥がすことです。そのためには、不安や恐怖から自分の身を守っているレッテルの存在を確認し、レッテルがなければどうすればいいかをいろいろと考えて、思いついたことを実行して、チャレンジしていくという気持ちが大切かもしれません。
自動思考とは、何らかの出来事があった時、感情といっしょにパッと頭に浮かんでくる考えのことで、その人の心のクセが出てくるものです。
例えば、直属上司の課長が仕事終了後に、部下4人を誘って近所の居酒屋で飲み会を開きました。酒癖の悪い課長は部下たちに 「お前ら!!、もっと商品知識を勉強しなければいけないよ!! そうしないと価格交渉もうまくいかないし、結果的に会社に迷惑かけてしまうぞ!!.........」 と説教が始まりました。
部下4人たちの反応は全く異なり、自動思考は次のような感じでした。
Aさん:課長の言うことはもっともだ。アドバイスをきちんといただいて嬉しい
Bさん:お酒で課長が本性を出しているから、ここはじっくり課長の様子を観察しよう
Cさん:お酒の席で仕事の話は勘弁してほしいし、これ以上、課長の話は聞きたくない
Dさん:もうこれはハラスメントだ!! 絶対に許さない!!
課長の説教に対して、AさんとBさんはポジティブ寄りの自動思考が、CさんとDさんはネガティブ寄りの自動思考を生じています。4人でもこのような違いが出てくるので、自動思考は十人十色と言うことができます。ひとつの出来事に対して、これ以外にもいろいろな自動思考が出てくるかと思います。
CさんとDさんのように、自動思考がネガティブな方に偏っていると、嫌な気持ちになり、行動や身体に影響を与えます。ちなみに、この後、Dさんは怒りのあまりに顔の形相が変わり(身体反応)、課長の胸ぐらをつかむような行動に出てしまいました。
このような行動に出ないためにも、ネガティブな自動思考が起きた時に、気分を楽にするような適応思考を見つけることができれば、それに越したことはありません。Dさんの例では暴力を起こすのではなく(Dさんも酒が入っていました)、「課長の発言はパワハラの疑いがあるから明日にでもさらに上司の部長に相談しよう!!」 と冷静な適応思考が出てくればよかったのかなと思いました。
今後の予定(認知の歪みシリーズ)
9.過剰な拡大解釈、縮小解釈
No.59 ストレス対処法 拡大解釈(2月21日)
例:他人の手柄を横取りしたのに、自分の貢献を過大視して自分の手柄だと解釈する
No.60 ストレス対処法 縮小解釈(2月22日)
例:いい成績を取っても、これくらいなことは誰にでもできることと過小に評価する
10.感情の理由づけ
No.61 ストレス対処法 感情の理由づけ(2月23日)
例:あいつと話すといつも退屈に感じるので、あいつのことをいい人という人は噓つきだ