【No.】 479
【ストレッサー】 新社長の駐在事務所訪問
【内容】 今後の事務所運営に不安を持っている中、当たり障りのない回答で、みんなは安堵するも、不信感を感じてしまう
【分類】 D 仕事
【効果】 ★★★
【対処法】 新社長の性格は風見鶏と聞いていたので、表面上は温厚だけれども本性を隠している可能性があり、警戒するに越したことはない
【ストレッサー型】 4 モンモン未来不安型
【解説】突然の社長交代劇があって、約1カ月後に新しい社長が駐在事務所にやってきました。前社長とは違って、空港への出迎えをふたりの部長に要求はしなかったそうでした。ローカル社員たちは、初お目見えの社長に対して当初は緊張気味でしたが、笑顔を見せながらの社長の話し方は、親しみが持てそうな印象だったようでした。
社長は人当たりはよく見えるのですが、空気を読む能力に優れ、元々自分個人のしっかりした考えは持っていないようで、いわゆる、勝馬に乗るというような人だったのです。それで世渡り上手で本社の取締役に抜擢されたようでした。
例によって、全額会社負担の昼食会が2時間にわたって開催され、食事後の30分ほどは、ローカル社員たちの質問タイムに充てられました。今後の事務所運営に不安を持っているような質問ばかりで、社長の回答は、彼らの不安を払拭するような内容でひとまず安心したようでした。
英語がネイティブ並みの購買部長が、ほぼ同時通訳で内容を社長に伝えました。そして、社長の回答を英訳してローカル社員に伝えていました。資材購買の仕事では精彩を欠く部長でしたが、こういう時だけは輝いて存在感をアピールでもしているようでした。
最後に、社長の方から新製品が間もなく発売されるという話がありました。従来のライバルメーカーの他にも有名なメーカーが新規に1社参入するとのことで、熾烈な覇権争いが全世界で展開されることが予想されました。
午後からは、日本人スタッフ4人と社長とのミーティングがありました。新製品の発表があってから、現行モデルの売れ行きが落ちた部分もありますが、当初計画の半減の生産数になっており、駐在事務所の運営にも影響が出つつありました。利益率(粗利率)を3%から5%に引き上げれば一挙に改善すると小生は提案をしましたが、社長の回答は、しばらくは現行のまま様子を見るとのことでした。
その後、社長と管理部長が個室に残って、今後のことをいろいろと確認しあっていたと思われました。ふたりとも表面上は温厚そうに見えても、心の内は何を考えているかわからない古だぬきのような人たちでした。
それに比べて、前社長は悪口や愚痴が多かったので、考えていることが周囲に伝わるので、ある意味本心がわかりやすく、今後の予想がつきました。ところが、風見鶏のようなタイプの新社長は、今後の意図が全く予想がつかないので、ストレスになっていきました。
社長は新製品の部品構成表(製品に使用する部品リスト)を置いていってくれたので、日本人スタッフ分の4部をコピーしました。購買部長は見せてもチンプンカンプンの人でしたが、あげないと嫉妬されるので渡しておきました。
一目見て感じたのですが、新製品はスペックが高くなっているせいか、構成部品のほとんどが日本製でした。同等品の海外産品を探すのに時間がかかりそうですし、当面は駐在国で扱える部品は大幅に減るような心配が残りました。
当時は日本製部品は、船便や航空便を使って日本国内から海外協力会社へ無償で部品を支給しておりました。海外製の部品は駐在事務所扱いで、部品単価に3%を上乗せして有償で支給していました。海外製部品が減ることは、駐在事務所の取扱金額が大幅に減ることを意味していました。
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